72歳のJ・W・ブーシェとは誰だったのか

ニック・イエット

歴史特派員

ジョン・ウィリアム・ブーシェは南北戦争で名誉ある功績を残し、1864年と1865年に7か月間北軍のために戦いました。ほとんどの男性にとってはそれで十分だったでしょう。しかし、紛争終結から 52 年後、ブーシェは再びライフルを手に取り、72 歳で第一次世界大戦中に戦場に従軍した最高齢、おそらく最高齢の一人となった。

ブーシェは、カナダがまだイギリスの植民地だった1844年12月にカナダのオンタリオで生まれました。ブーシェの両親は王室の誇り高き臣下でした。おそらく 1850 年頃の父親の早すぎる死の後、ブーシェは寄宿学校に送られました。南北戦争が勃発すると、彼は本を捨てた。国境を滑り越えた。そして19歳で北軍に入隊しようとした。「私は南北戦争で自由の大義のために戦うために、わざわざ手を出しました」とブーシェは1918年にシラキュース・ポスト・スタンダードに書いた。

興味深いことに、ブーシェのカナダ国籍は若い頃ほど入隊の障害にはならなかった。イギリス臣民が紛争に従軍することは厳密には違法であったにもかかわらず、35,000人から50,000人のカナダ人が南北戦争に従軍し、そのほとんどが北軍側であった。当時は運転免許証や正式な身分証明書が存在しなかったため、事務処理はほとんど優等制度に基づいて行われていました。軍隊にとって、身体は身体でした。

アーカイブ記録によると、ブーシェは最初にバッファローで入隊しようとしたが、若すぎると判断され、次にクリーブランドで入隊を試みたが、原因不明で拒否されたようだ。彼は最終的にデトロイトで受け入れられ、ミシガン第24歩兵連隊に入隊した。彼は1864年12月のナッシュビルの戦いから1865年4月の終戦まで従軍したと主張した。

ジョン・ブーシェが24日のロスターに名を連ねているが、詳細のいくつかが異なるようだ。その一例として、1864年9月にデトロイトで入隊し、1864年10月26日にミシガン州ジャクソンで除隊したブーシェは当時18歳だった。 1864 年 9 月、ブーシェは 19 歳になっていたはずです。この名簿が正確であれば、彼は最長で 56 日間現役を務めたことになります。ナッシュビルの戦いは、リストに記載された除隊から55日後に発生した。

『Blood and Daring: How Canada Fought the American Civil War and Forged a Nation』の著者である歴史家のジョン・ボイコ氏は、「当時の記録保持は現在のようなものではなかった」と述べ、保管されている記録は必ずしも正確ではなかったという。

南北戦争後、ブーシェはカナダに戻り、家庭を築きました。彼は複数の鉄道で測量士、荷物係、貨物車掌として働き、アメリカ本土で勤務したこともありました。最終的に、彼はニューヨーク州境から13キロ離れたセントローレンス川の北岸、オンタリオ州ガナノークに定住した。ブーシェは中年期を馬車工場や金属鋳物工場の夜警として働いていたようだ。ウィンザー・スター紙の報道によると、ブーシェさんはある時点でセントローレンス号のガイドになったという。ジャーナリストのダン・オハラは1918年に「この仕事で彼は初めて国際的な名声を得た」と書いている。「誰もが知っているように、優れた漁師は遅かれ早かれガナノークエに行くからである。」

ブーシェの子供たちは成長し、1898年頃に妻が亡くなりました。 1914年8月までにブーシェは69歳の未亡人となり、健康で一見満足しているように見え、一日のほとんどを釣り竿の後ろで過ごしていた。その後、ドイツはベルギーに進軍した。

「変革は一夜にしてカナダにもたらされた」とブーシェは1918年4月にポスト・スタンダード紙に掲載された一連の記事の中で書いている。カナダは1867年以来厳密には自治領であったが、機能的には依然として英国の統治下にあった。イギリス連邦は危機に瀕しており、62万人のカナダ人がヨーロッパでの奉仕の呼びかけに応じた。「私が長年住んでいた小さな平和な漁村が武装キャンプになった」とブーシェさんは述べた。「私は、その後キャンプや釣り旅行に連れて行った若者たちが、突然たくましい男に成長するのを見ました。…制服が彼らを変えたのです。」そして、「インスピレーションが湧いてきた。私の居場所はその中にあった」と付け加えた。

軍隊は、入隊者が嘘をつかない限り、72歳の若者を連れて行きません。

戦争が勃発して間もなく、ブーシェは自宅近くの新兵募集所へ行きました。入隊士官は彼のことを褒めた「立派な体格と強い体格」だが、当然のことを述べた。下士官の年齢の上限は45歳だった。2年後、71歳になっても入隊を切望していたブーシェは、クイーンズ大学第72砲兵隊に料理人が必要だという情報を得た。「今では、私にはシェフとしての評判があった」とブーシェはポスト・スタンダードで自慢した。「ガナノークでは私の料理を一度も試食したことがない人はほとんどいませんでした。」彼は再び拒否され、カナダの上院議員に助けを求めた。運がなかった。「カナダ軍は政治から影響を受けなかった」と彼は書いた。

さらに一年が経ちました。 1917年1月、第257カナダ鉄道大隊は年齢制限を48歳に引き上げ、ブーシェにもっともらしい否認期間をさらに3年間与えた。「ここが最高のチャンスだと思いました」と彼は言った。「鉄道建設大隊と一緒にいるということは、塹壕が見えるところにいるということだ。」彼は別の採用事務所に行き、そこで服を脱いで医師の前に立ち、肩を落として自分の年齢は48歳であると告げた。

「そして、私のような人もいます」と医師は笑顔で答えた――少なくともブーシェの説明では。

ブーシェは身体検査に合格し、72歳で工兵、つまり民間グレードの軍事技術者になった。彼は荷物をまとめて、次の船に乗ってヨーロッパに向かった。

「歴史家は未成年の兵士に注目してきた」とカナダ戦争博物館の作家で主任歴史家のティム・クックは言う。「しかし、何千人もの年齢超過の兵士もいた」。

ブーシェはフランス西部で彼の大隊に加わった。第 257 連隊の仕事は、反復的で骨の折れる仕事であり、名誉はほとんど得られないが、戦争では勝利を収める類のものであった。「物流は極めて重要です」とクック氏は続けます。「弾薬がなければ戦闘はできません。兵士を前線に移動させ、負傷者を前線から遠ざける必要があります。兵士に食料、水、ラム酒を提供できなければ、兵士は衰退してしまうでしょう」暴徒よ。」

この問題を解決したのが海溝鉄道でした。小型の機関車と気動車を備えたこれらの狭軌路線は、テーマパークで見られるものに似ていました。「狭軌の路線を建設するにあたって」ブーシェ氏はポストスタンダードの中で次のように書いている。彼ら。" 彼には「お父さん」というあだ名が付けられました。有能な彼は誰も騙していなかったし、信頼できる人たちには自分の実年齢を明かしていた。

第 257 鉄道大隊のような鉄道大隊は、鉄道自体を建設するために必要なレール、木製枕木、土のトン数をどのように移動するかという鶏が先か卵が先かという問題に答えました。「普通の人は、日常的によく見かける種類のロバの倒錯ぶりをかなりよく知っている」とブーシェさんは書いている。「しかし…このラバは普通のラバではなかった。…私は自分の年齢が自分に迫ってくるのではないかと初めて恐れた。」毛むくじゃらの徴兵たちは労働の訓練を受けておらず、「自分たちの思い通りにできたとしても、決してそうなることはないだろう」。

第一次世界大戦中、動物はどこにでもいました。ネズミを狩る塹壕犬、ネズミを狩る塹壕犬など、人間以外の動物が 1,600 万匹も派遣されました。伝書鳩。そして、南アフリカ第3歩兵連隊で二等兵として勤務していたジャッキーという名前のヒヒさえもいた。この戦争で推定484,143頭の英国のラバ、馬、ラクダ、去勢牛が死亡した。「私たちは思いやりを持たなければなりませんでした。はい、先生、私たちは彼らにユーモアを与えなければなりませんでした。でも、これまで一度も冗談で笑ったことがない人にユーモアを与えようとしたことがあれば、あなたはそうでしょう。」私たちの任務がどのようなものか、かなりよくわかりました。」

第一次世界大戦は、空にまで広がった最初の大規模な紛争でもありました。人類の歴史のほとんどにおいて、戦争は水平的なものでした。さて、兵士たちは上向きに心配しなければなりませんでした。悪名高い「レッドバロン」ことマンフレート・フォン・リヒトホーフェンのようなエースが操縦するドイツの複葉機は定期的に連合軍の鉄道大隊を標的にし、爆弾を投下したり機首砲で発砲したりした。

鉄道乗務員は貴重な標的であり、ただのカモだった。「ドイツ軍機が樹木の茂った丘の上に現れた」とブーシェ氏は回想した。「警察官らは私たちに、散り散りになってうつ伏せになるよう命じた。」ある攻撃の際、彼は古い鉄製ボイラーを発見し、全力で逃げました。「穴に足を踏み入れなければ、大丈夫だったのに。つまずいて地面に大の字になり、鼻を土に埋めて横たわっていました。」爆弾は次々と襲来し、空を引き裂き、彼の周囲の野原を爆破した。「振り返ってみると、私たちが何でも達成できたことに驚いています」と彼は書いている。「レールを敷設したのと同じくらい早く、爆発する砲弾によってレールが引き裂かれることがよくありました。」

男たちはフランスを通ってベルギーへ行進した。膝までの深さの泥の中を懸命に進む中、ブーシェさんは苦戦したが、助けを拒否した。「私は自分の重荷を他の人の肩に移すために前線に来たわけではなかった」と彼は後に語った。一行はベルギーのイーペルに到着し、「キャンプからは廃墟の山が見えた」と述べ、線路の敷設を続けた。死傷者が増えた。「私たちが仕事に就いた初日に、私たちの会社の2人が完全に死亡し、他の数人が破片で負傷しました。…毎日、さらに多くの名前が[追加]されました。」

8か月に及ぶ過酷な労働、行進し、敵の砲撃を避けた後、ブーシェの年齢も彼に追いついた。彼は関節炎の可能性があるリウマチに苦しんでいたため、赤十字社の伍長が彼に診療所に行くよう命じた。医療関係者は疲れ切った72歳の男性を困惑した表情で見つめた。

"何歳ですか？" 彼は要求した。「私はあなたの軍隊年齢が知りたいのではありません。私はあなたの本当の年齢が欲しいのです。」

ブーシェは折れた。その頃には社内の誰もが彼の実年齢を知っていたので、隠すこともできませんでした。

彼は勇気を振り絞った。「あと２、３週間で私は73歳になります。」

ブーシェの戦いは終わった。年齢を理由に解雇され、療養のためロンドンに戻り、カナダへの転勤を待った。町にいる間、彼は軍人、英国領主、聖職者に自分の話を語った。噂が広まりました。しばらくして、「私はジョージ5世の前でパレードするという重大な命令を受けました」とブーシェは書いている。 1917年12月21日、彼は緊張しながらバッキンガム宮殿に近づき、「両足を同じ方向に進めるのに多少の困難を感じた」。彼は招待状を差し出し、門を通って案内されました。英国王は王室書斎で彼を出迎えた。

「私は帽子をかぶっていなかったし、ジョージ国王は私服を着ていたので、敬礼もせずにただお辞儀をしただけだった」とブーシェさんは振り返る。「国王はすぐに進み出て、私の手を温かく握り、こう言いました。『サッパー・ブーシェ、あなたにお会いできて光栄です。あなたの年齢の男性がカーキ色の服を着ているのを見るのは、私の目には良いことです。』」

ブーシェは国王の非公式な態度に喜んだ。彼らは家族、カナダにあるブーシェの家、南北戦争での彼の活躍について話しました。国王は、戦争努力に対する米国の献身についてのブーシェの印象に特に興味を持っていた。米国は8か月前に参戦しており、指導者の関与は未解決の問題のままだった。

「アメリカは良くなると思いますか？」王は尋ねました。

「カナダ人は良くなりましたか、陛下？」ブーシェは答えた。「ヤンキースも同じことをするだろう。私は長年彼らの中で暮らしてきたが、米国は皇帝の戦争機械を存在から一掃する決意を固めていると断言できる。」ブーシェ氏の今後の計画については？ブーシェ氏は国王に対し、「私はこれまでに３回拒否されており、１回は砲兵、歩兵、工兵であった。今度は航空軍団に入ろうとするつもりだ」と語った。

ブーシェは 1918 年 2 月に船でカナダに戻りました。彼は帰還した英雄として迎えられ、彼の話は地元の新聞に広まりました。ブーシェ氏は依然として奉仕に熱意を持っており、彼の驚くべき物語が支持を集めることを期待して、米国の聴衆に向けての演説を志願した。米国広報委員会は、ブーシェ氏のニューヨーク中心部、ガナノークの自宅近くへの出演を予約した。彼は学校、ロータリーホール、講堂で講演し、戦時中の大義のための募金活動として成功を収めました。「サッパー・ブーチャーは昨夜、セネカ・フォールズのリージェント・シアターで1,000人の聴衆を前に演説した」とポスト・スタンダード紙に掲載された1918年4月の記事には書かれている。「劇場はドアぎりぎりまで混雑しており、老兵は度々、煽動的な拍手で中断された。」

ブーシェのツアーは南部にも拡大し、マルチメディアのスペクタクルに発展し、彼の講演ではアメリカ人の愛国心を刺激することを目的とした政府制作のサイレントドキュメンタリー『戦争中のアメリカ』を紹介した。これらの出演中、彼は笑いのために戦場での悪ふざけを演じて自虐的だったが、常に自分にメッセージを送り続けた。「さて、アメリカ国民の皆さんは、ジョージ王との約束を守ることだ。君たちは真の戦士であることを証明するというものだ。」

第一次世界大戦は、1918 年 11 月 11 日にフランスのコンピエーニュ近郊で休戦協定が締結され、終結しました。ベルサイユ条約でのドイツ人に対するさらなる懲罰的要求を伴うこの和平の厳しい条件は、21年後に次の世界大戦を引き起こすことになるドイツの不満の種を蒔いた。

1919 年にブーシェはシラキュースに移り、そこでアメリカ在郷軍人会に加わり、退役軍人の活動に積極的に参加しました。南北戦争の集会では必然的に彼は最年少の退役軍人の一人となった。第一次世界大戦の集会では、彼は何十年も最年長でした。彼は時代をまたいだ功績を誇りに思っていたが、どちらの戦争がより困難だったかを問われると、言葉を詰まらせることなくこう答えた。彼は 1920 年頃に米国市民となり、娘と暮らすためにデトロイトに移住しましたが、冬のほとんどをマイアミで過ごしました。 1927年、彼の誕生日は「世界最高齢の退役軍人、81歳」という見出しの全国ニュースで祝われた。「素晴らしい気分だ」とブーシェ氏はデイリー・リパブリカン紙に語った。「だって、私はただの少年なんだから、目の前にある世界を前にして、自分が少年になった気分でいるのよ。」

彼は間違っていなかった。ブーシェは 94 歳まで生き、1939 年 2 月 27 日に亡くなりました。アドルフ・ヒトラーがポーランドに戦車を進入させ、第二次世界大戦が始まるわずか 6 か月前のことでした。

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ニック・イエット | 続きを読む

ニック・イエットは小説「変形のソムリエ」の著者です。

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